競技スポーツの世界では、規則に反して競技成績を向上させる目的で薬物を不正に使用する例が見られる。
ドーピングと呼ばれ競技スポーツ特有の古くて新しい問題である。
エリート選手によるドーピングは青少年をはじめ一般社会への影響が大きく、麻薬や向精神薬の乱用問題とともに国際的レベルでの取り組みが必要である。
このような背景でアンチドーピング・ムーブメントが国際的に展開されている。
薬剤師がこうした運動に積極的に参加する意義は大きい。
(日本薬剤師会雑誌より抜粋)
薬物乱用とは、医薬品を本来の目的から逸脱した用法や用量あるいは目的のもとに使用すること、医療目的にない薬品を不正に使用することをいいます。
もともと医療目的の薬物は、治療や検査のために使われるものです。
それを遊びや快感を求めるために使用した場合は、たとえ1回使用しただけでも乱用にあたります。
薬物乱用の防止は薬物を乱用する一部の人だけの問題ではありません。
大切なのは、乱用者以外の多数の人々によって薬物乱用を許さない社会環境づくりをすることです。
自分だけはだいじょうぶと思って「誤った知識」を信じ込んで、薬物乱用を許してしまうかもしれません。
いったん薬物乱用に走ってしまうと、中枢神経(脳)が侵され、その弊害が一生ついてまわります。
一旦乱用してしまうと、自分の意思ではやめられなくなってしまう「依存症」があります。
したがって、薬物乱用は1回でも「ダメ。ゼッタイ。」です。
現実に薬物乱用が起こってしまってからでは遅いということを知ってもらい、社会の一員として一度たりとも薬物乱用を許さない、私たちの身近な地域社会から薬物乱用のない社会環境づくりに参加するためにも、薬物乱用の問題について正しい知識を得ることが必要です。
「ダメ。ゼッタイ。」普及運動リーフレットより抜粋